こんにちは「ぴよ」です。
地球上で生活している人類は70億を越え、先進国と途上国との経済格差が広がるとともに、環境問題や食糧問題もますます深刻なものとなっています。
大量の肉や穀物を確保するには飼育・栽培のための広大な土地が必要となるので、森林伐採などは今後も続くでしょう。
このまま人類が増え続けていけば、今後、先進国も「食糧難」の問題に直面することになるのは明らかです。
FAO(国際連合食糧農業機関)から出された「昆虫食」のレポートが話題になりましたが、これからの人類には、他文化の食生活を取り入れていくというような姿勢も求められているのかも知れません。
そのような将来の食糧難をふまえ、新たな技術で人間の「食」を確保しようとする研究が注目されています。
それが「培養肉」そして「人工肉」と呼ばれるものです。
どちらも名前から人為的なものだということは推測できます。
では、違いは何か。
「培養肉(イン・ヴィトロ・ミート)」とは、研究室などの施設で細胞を培養液によって増やすことで作り出した肉。
「人工肉(フェイクミート)」とは、フェイク(偽者)の意味どおり、他の素材(主に豆)を使うことで限りなく肉の質感に近づけたもの。
それぞれアプローチは違いますが、将来の食糧問題を解決する一つの方法として考えると、どちらも素晴らしい研究だと思います。
これらの分野を研究している機関・企業をいくつか紹介していきます。
培養肉(イン・ヴィトロ・ミート)分野
大学の研究室
2013年、オランダにあるマーストリヒト大学教授のマーク・ポスト氏が培養肉で作ったハンバーガーの試食会を行いました。
ニュースなどでご存知の方も多いと思います。
試食した人たちのコメントは「肉と比べると…」という前置き(相対評価)はありましたが、好意的なコメントが多かったようです。
しかし、ハンバーガーとして販売した場合の値段は、当時で1個が3500万円(それまでの研究費込み)というとんでもない金額でした。
皆が口に出来るほど普及するのは当分先のように思えます。
が、コストダウンのための研究は今も続いて、現在ではかなりコストは下がっているようです。
日本の企業「インテグリカルチャー」
ベンチャー企業という括りで良いのでしょうか。
2015年に設立された、羽生雄毅氏が代表取締役を務めるインテグリカルチャー。
そのなかに純肉(クリーンミート)の培養技術を研究するShojinmeatプロジェクトがあります。
現在の培養技術では、100グラムの肉を培養技術で調達するのに200万円以上かかるそうです。
しかし、Shojinmeatでは培養液を独自に見直し、安全性を高めつつ、コストも抑えることに成功。
結果、4万ほどの予算で培養することが出来るようになったとのこと。
それでもまだ高いですが、この技術が普及すれば生産コストは更に下がるでしょう。
会社の所在地は東京都文京区。日本にもこういった分野に挑戦してくれる方がいるのは頼もしい限りです。
人工肉(フェイクミート)分野
ビヨンドミート
ロサンゼルスに設立された企業であるサベージ・リバー。
この企業の扱う商品がbeyond meatです。
beyondは「~を越えて/~の向こう」の意味。
つまり「肉を越えた肉」のような感じなのでしょうか。
えんどう豆や大豆から取り出した植物性たんぱく質を主成分として作られた「肉」です。
それに加えて、ココナッツオイルやジャガイモのデンプンで食べ応えを再現。また。ビートによって肉の赤味を演出。
他にも様々な植物由来成分が入っているようです。
研究期間7年以上。それにより見た目、食感とも本物の肉に近づけてきました。
パティの値段は5.99ドルほど。
HPで購入できる店舗を確認することが出来ます。
三井物産も出資しているということなので、日本でも食べられる日が近いかもしれません。
インポッシブルバーガー
サンフランシスコにあるベンチャー企業のimpossible foods。
こちらが製造しているのがインポッシブルバーガー(インポッシブルミート)です。
impossibleは「不可能な」の意味。
訳すなら「存在し得ない肉」という意味合いでしょうか。
こちらも100%植物性たんぱく質を主成分として作られた「肉」です。
注目すべきは「ヘム」という物質を混ぜ込んでいること。
赤血球の中に含まれる物質にヘモグロビン(ヘム+グロビン)というものがあります。
インポッシブルフーズは植物由来のヘムを混ぜ込むことによって、より肉に近い味、見た目にしているとのこと。
いろいろ考えますね。
日本にも展開しているUMAMI BURGE(ウマミバーガー)などの店舗でハンバーガーを提供しています。
ハンバーガーは19ドル程度で販売しているようです。
他にもHPで提供されている店舗が検索出来ます。
残念ながら日本ではまだ販売していません。
こちらも近い将来、日本でも食べられるかもしれません。
「培養肉」と「人工肉」どちらの方が普及していくのでしょうか。
それとも上手く住み分けをしていくのでしょうか。
今後が気になるところです。