こんにちは「ぴよ」です。
1人で山に入ってシカやイノシシを追いながら狙う「単独忍び猟」という猟を始めて3期目。
今年もありがたいことにシカを手に入れることができました。
集団で狩りをする場合と違い、単独の場合は解体や運搬を1人でこなさなければならないので、かなりの重労働となります。
しかし、みんなで分け合う必要がないので獲れた肉はすべて自分のもの。
獲物から少ししか取れず、しかも美味しい部位は争奪戦になるとかならないとか聞いたことがありますが、そのような部位も単独猟で獲れたら独り占めできます。
せっかくの獲物ですから市場に流通しにくい部位も試してみたい。
ということで、今回はそんな希少部位の一つ「鹿タン」を食べてみました。
鹿タンの焼肉をつくる
「鹿タン」という名前からわかるとおり、シカの舌、ベロの部分になります。
牛タンとか豚タンとかは市場に出回っている美味しい部位ですし、好きな方も多いのではないでしょうか?
それなら、同じタンであるシカの舌も美味しいに違いありません。
タンといえば焼肉、焼肉といえばタン。
ということで、今回はシンプルに焼いて食べることにしましょう。
楽しみですね・・・!
舌を茹でる
これがシカの舌「鹿タン」です。
大きな精肉店ではスライスされていない生の牛タンが売られていたりするので一般の方でも見たことのある形状だと思いますが、この状態のものを購入して処理したことのある方はあまりいないのではないでしょうか。
スライスされているものを買う方が楽ですしね。
私もそんな人間でした。
人生初の下処理がまさか鹿タンになるとは思ってもみなかった・・・。
では、気合を入れていきましょう。
沸騰したお湯にタンを入れます。
温度が下がるので再沸騰させてから1~2分ほど茹でたら取り出して、肉に余計な熱が入らないように氷水でしっかりと冷やしましょう。
表面の皮を取り除く
氷水からあげたらキッチンペーパーなどで拭いて水気を取り除きます。
後は爪先でカリカリと引っかきながら薄皮を取っていきます。
まぁ、薄皮というほど薄くはないですが・・・。
ただし、先の方は取れやすいのですが元の方へ進むほど取りにくくなるので、包丁などの刃物で削ぎ落した方が早いです。
ちなみに茹で時間を延ばしても薄皮の取れ方は変わりませんでした。
肉に余計な熱が入ってしまうだけなので止めた方が良いでしょう。
ということで、ささっと包丁でやっちゃいました。
うっすらとピンク色でなかなか美味しそうですね。
ここまできたら「舌」ではなく、完全に食材の「タン」に見えるでしょう。
画像の左側が「タン先」の部分、右に進むにしたがって「タン元」となります。
タンをスライスする
鹿タンをスライスしていきます。
包丁についている脂すごくないですか?
タン中あたりからタン元は脂のつき具合が最高!
これは絶対美味しいやつだ。
焼く前から期待値が上がっちゃいますね。
今回も藤次郎の骨スキ包丁が大活躍しました。
タンを焼く
それでは焼いていきます。
フライパンで焼いてもいいのですが、ここは鹿タンに敬意を表してスキレットで焼きましょう。
鋳物は正義!
タン元を焼いていると肉からスキレットに脂がにじみ出てきて、その身全体をきつね色に染めていき最高のビジュアルに仕上がっていきます。
すでに脳は「美味しい!」と訴えかけてくるし、見た目も芸術。
はやる心を抑えつつ残りのタンもじっくり丁寧に焼いていきます。
完成!
出来上がり!
左がタン元、真ん中がタン中、右がタン先です。
味付けとして岩塩とレモン汁を用意しました。
それではいただきます!
まずはタン元から。
・・・やっば、激ウマ!
脂がのっていてとても柔らかく、噛んでいるとスッと溶けていく感じ。
食感だけでなく甘みとうま味もすごい。
これは幸せだ!
次にタン先。
おぉー、こっちは脂分はないけど、そのぶんコリコリとした食感が楽しい。
歯切れがとても良く、筋のようにいつまでも口に残るというようなことはありません。
さっぱり系が好きな人はこっちが好みかもしれませんね。
最後にタン中。
おー、なるほどぉ。
あたりまえですが、タン先とタン元の中間のような味。
脂も感じながら、しっかり肉を食べている感じも味わえてお得ですね。
脂と食感のバランスがとても取れている部位。
個人的には3つの部位の中ではタン中が一番好みだわ。
あっという間に完食。
ごちそうさまでした!
終わりに
鹿タン、最高の食材でした。
市場に流通していて美味しい家畜の部位は、やはり野生生物でも美味いのかもしれませんね。
ただし、家畜と違い衛生管理がされているわけではないので感染症などに気を付ける必要もあります。
いろいろとアンテナをはりながら、これからもジビエ料理を楽しみたいと思います。
素晴らしい切れ味の包丁なので買って良かったと使うたびに思っています。